水中一眼マクロ撮影で感じたこと◎
こんにちは🌞ダイビングインストラクターのかっきーです◎
以前から水中撮影をしていたボクですが、最近やっとこさ一眼マクロレンズを使う時間が作れまして(^^♪
今回はミラーレス一眼でマクロ撮影の使用感を書いてみようと思います◎
これからダイビングでカメラデビューしようと思っている方や、
コンデジから一眼に新調しようかと考えていらっしゃる方はぜひ読んでみて下さい(=゚ω゚)ノ
ちなみに今回使用したカメラ・レンズ資機材はざっと
カメラ本体・・・Nikon Z6
使用レンズ・・・NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
ハウジング・・・Sea&sea MDXZ7
ストロボ・・・・Sea&sea YS-D2×2灯
です◎
水中での携行感
まずは撮影の前に水中での移動中です。
コンデジなら片手で持ったりBCDにカラビナを引っかけてスイスイ~なので超楽ちんですが、
一眼カメラはどうなのかというところ・・・。
正直なところ港から近場のポイントで流れもなくゆっくりマクロ撮影する分にはさほど邪魔には感じません◎
ただしボートからのエントリー時は水面にカメラを叩きつけるわけにはいかないので(水没の危険がある)、
自分がエントリーしてからボート上にいる人に渡してもらったりする必要があります。
ピント合わせ
これはほんとに難しいです。コンデジでのマクロ撮影に慣れているのもありますが、
一眼マクロはもはや別物です⚡
理由は以下の通り☟
コンデジのAFはとてつもなく便利
コンデジにも搭載されているAF(オートフォーカス)機能。
シャッターを半押しすることで自動でピントを合わせてくれる機能ですが、
多くのコンデジの場合被写体と奥行きに大きな距離がない場合ほぼ1発で被写体にピントが合ってくれます。
コンデジさん「この魚撮りたいのね、はいはい。じゃ、この辺全体的にピント合わせときます~」
って感じです。
対して一眼マクロレンズの場合、AFを使用した時少しでも被写体とレンズの距離が変わるとピンボケします。
精度がトンデモナイので不安定な水中でAFを使う時は完全に静止する必要があります。
なので多くの一眼マクロダイバーさんはAFではなくMF(マニュアルフォーカス)を使うのです。
一眼マクロさん「この魚撮りたいんですね、かしこまりました。この魚の頭にピントを合わせるんですね、かしこまりました。
目にピントを合わせるんですね、かしこまりました。黒目ですね、かしこまりました。」
って感じでちょっとでもズレたら「今回のお話はなしということで。」みたいな感じです(笑)
ピントが合ったクマドリカエルアンコウの幼魚
数mm被写体との距離がずれた場合
めっちゃ嫌なやつみたいですね(笑)
その代わりしっかりピントが合えばコンデジでは味わえない美しいボケが出てくれます✨
カメラ以前に高い精度のダイビング技術が必要
先の説明の中で不安定な水中で静止する必要があるというものがありましたが、
今回のマクロ撮影でインストラクターでありながら強烈に実感しました。
中性浮力(浮きも沈みもしない状態)が取れていないと水中で自分が動いてしまって、
止まっている被写体ですらまともにピントが合いません。
なんとなくフワフワ中性浮力を取れるのと静止するのは別次元でした💦
被写体を見失いがち
肉眼ではっきりと被写体を捉えても、カメラのファインダー越しや液晶モニター越しに被写体をみると全然違う世界です。
肉眼よりかなりズームアップされた状態で確認することになるので、
実際はめちゃくちゃちっさい突起がカメラ越しではグランドキャニオンです⛰
なのでファインダーや液晶モニター越しに被写体を探すなんて到底不可能なので、
一度見失ったらもう一度肉眼で確認しましょう👀
ピント合わせ一つでも慣れるまでかなり苦労したイメージです( ;∀;)(笑)
まぁそれが面白いんですけどね(笑)
シャッタースピード、絞り(F値)、ISO感度、ストロボの強さ
コンデジではさほどいじくらずとも自動的に撮ってくれるので比較的簡単です◎
ただしなんでもかんでも自動でしてくれるせいで逆に思っている通りにならなかったりします。
対して一眼マクロ。基本的に全てマニュアルです。
これが一眼マクロの敷居を高くする要因だと思います(T_T)
ただボクも「むずいんだろうな~」と思ってましたが意外とお手上げ状態にはならなかったです(=゚ω゚)ノ
理由としてはこんな感じです☟
シャッタースピード、絞り(F値)、ISO感度、ストロボの強さを全部いじくるわけではない
一枚撮るごとにこれを全部いじくってたら被写体はどっかいくでしょうね(笑)
こんなもんかな・・・という感じの設定で1発撮ってみてから一つずつちょっとずつ変えていく感じでした。
例)シャッタースピード 1/50 F値 5.6 ISO感度 100
→思ってたより暗い
→①シャッタースピードを1/40に変えてみる
→②F値を4.0に変えてみる
→③ISO感度を200に変えてみる
といった具合でどれかひとつを変えるだけでさっきよりも明るく撮れます。
しかしながら①②③全く同じ環境になるわけではありません。
①ならシャッタースピードが遅くなった分ブレやすくなりますし、
②ならボケ感が少し変わってきます。
かといってどんな場面でも③戦法を取っているとISO感度は上げれば上げるほどノイズが走ることになります。
ボクの場合はピンボケが嫌なのでできるだけシャッタースピードは落としたくない派なので、
これはマクロ撮影に慣れていく毎に個人差が出てくるでしょう◎
ストロボについて
先に挙げたシャッタースピード、絞り(F値)、ISO感度とともにストロボについても使用感を書いておきます💡
ストロボにはガイドナンバーと呼ばれる光量調節のためのダイヤルがあります。
ある程度深い水深になるとストロボを炊かないと暗くて何の写真かすらわからなくなってしまいますので、
このガイドナンバーを上げたり下げたりするわけですがこれについて感じたのは以下の通り☟
TTLは使わなかった
面倒な光量調節を自動でやってくれるというこのTTL機能。
自動で楽チンなはずが試しに使ってみると閃光弾級の光量✨(笑)
と、思いきや次は光量が足りなく・・・たまにちょうど良かったり。
仕組みはここで説明すると長文になってしまうので割愛しますが、ボクは全てマニュアル発光でした。
水中マクロ撮影は一瞬に懸ける場面の連続なのでボクはマニュアル発光派です。
魚類のあくびシーン
数十分待っていてもしてくれないこともあれば、
1分で2回することもある
業界では「パオーン」と呼ぶダイバーも多い
最大光量は使わなかった
ガイドナンバーの数字を上げると光量が強くなり、ナンバーを下げると弱くなるという簡単な使い方ですが、
2日間で6ボート水中マクロ撮影を行った結果ほどんど最大の半分以下で済みました。
試しに最大光量で撮ってみるとやはり閃光弾✨
700~800枚ほど撮りましたがほとんどガイドナンバー8以下でした。
被写体近づいての撮影なのでそんなに大きな光量は必要なさそうです◎
ストロボの強さより「角度」が気になった
思ったよりガイドナンバー調節に苦労はありませんでしたが、ストロボについて一番感じたのは「角度」でした。
水中マクロ撮影では周りに何もない開けた環境での撮影は意外となく、常に邪魔なものがありますね(笑)
被写体付近のストロボの光を遮る遮蔽物としては生えものや小さな地形が多かったですね。
葉っぱ的なものくらいならストロボの光が貫通してくれると思ったボクはまだまだ甘かったようです。
きっちりとストロボの光が当たっていないと良い色は出ません。
何度も同じ角度からチャレンジできる被写体ならトライ&エラーを繰り返せばいいのですが、
少しでも被写体が動けば遮蔽物の角度も変わります。
生えものの上で休憩するクダゴンベ
遮蔽物が多くストロボが当たりずらい角度の場合
ストロボの強さは変えず角度のみ調整した
ストロボがしっかり当たることで写真全体の雰囲気が大きく変わる
ターゲットライトがとてもいい仕事をしてくれる
シャッターを撮る毎にストロボの角度を変えるのも一苦労・・・
というかそんな時間的な余裕はない場面も多々あります。
そんな時にストロボのターゲットライト機能がめちゃくちゃ便利なことに今更気づきました(笑)
水中マクロ撮影のセットアップ後の上部に細かったり太かったり様々なライトをつけているダイバーがいますね?
ボクもその一人です。ハウジング上部にRG‐blueのライトをくっつけてます。
これがあるお陰でカメラを構えた状態で被写体探しができるのでこれはこれで便利なんですが、
強烈なターゲットライトをまともに被写体に当ててしまうと被写体にストレスを与えてしまい逃げてしまうこともしばしば。
仮に被写体がじっとしてくれていても撮影時には主にストロボの光で撮影するわけで、
ストロボの角度のニアミスに気付けません。
しかしストロボのターゲットライトを使うと柔らかい光量で「どこにストロボが当たっているか」を常に確認できる状況が作れます。
これによりストロボの照射角度の再確認を激減させることができました。
水中での活動時間
タンクのエアーを消費しながら水中活動を行う点では通常のダイビングと同じですが、
撮影する被写体がガンガン泳ぎまくる系でない限りボク自身の行動範囲はかなり狭くなりました。
さらに被写体にストレスを与えないように配慮するので呼吸も通常のダイビングより圧倒的にゆっくりに。
結果としてエアーの減りはかなり軽減されましたが、その代わりにより気になるのが「窒素」です。
深い水深に留まり続けると体内の窒素がどんどん溜まってしまい、減圧症のリスクが上がってしまいます。
タンク内のエアーは十分あるのに窒素が溜まってしまうせいでダイビング終了になるのがもったいなくて、
2日間のうち2日目のみナイトロックスエアー(通常のタンクよりも酸素濃度が高く窒素濃度が低いエアー)
を使用しました。
ナイトロックスエアーは専用ライセンスの取得が必要にはありますが、
水中撮影では強い味方ですね◎
被写体に使う時間
満足いくまで被写体に引っ付いていた結果、一つの被写体に40分費やしてました(笑)
1ダイブで5つも6つもの被写体を満足いくまで撮り続けるのはボクには無理ですね(笑)
もっと水中一眼マクロに慣れていけばパッと頭に浮かんだ構図で撮れるようにもなれるかもしれませんが💦
しかしながら通常のダイビングでカメラを持っていないダイバーと一緒にダイビングをする際、
自分一人だけ被写体にかじりつくのはロストの危険もありますしあまり褒められた潜り方ではありません。
もちろんカメラを持ってるダイバーが悪いわけでもなく、カメラを持たずにダイビングをする派のダイバーが悪いわけでもありません。
チーム内のダイバーが同じ楽しみ方の方がダイビングとしての満足感が高いということです。
あとは自分以外のカメラダイバーがいるなら順番交代で被写体を譲りましょう◎
できるだけ長く一つの被写体に集中したいなら平日にダイビングをするか、自分で被写体を見つけるのがオススメです(^^♪
まとめ
長々と書いてしまいましたが今回のまとめです(*´ω`)
・やっぱりカメラの知識以前にダイビング技術があって初めてカメラに集中できる
・シャッタースピード、絞り(F値)、ISO感度は思っていたより大きく変えまくるものではなかった
・ストロボのターゲットライト機能が便利すぎる
・コンデジも良いけどキマった写真の仕上がりは一眼マクロが格段に上
といったところです(^^♪
また水中撮影についての記事も書いていこうと思いますので次回もぜひ読んでみてください♪
P.S
水中写真家さま方の水中写真集がめっちゃくちゃ参考にまります。
最後の方の写真の目次みたいなところに撮影時のシャッタースピード、絞り(F値)、ISO感度を表記してくれているので( ゚Д゚)
それを真似て臨むと「お!できた!」ってなります◎
それと同時に「え?この設定でなんでピント合うん。無理やろこんなん(笑)」
と、水中写真家さま方の尋常ではないダイビングスキルを感じることもできます(笑)
それを体感した上でもう一度その水中写真集を見るとまさに技術の結晶であることがわかるはずです(*´ω`)
なんでもいいので一冊買ってみましょう♪