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ダイビング中のトラブルとその対処法~安全潜水のために~

こんにちは!ダイビングインストラクターのかっきーです◎
9月とはいえまだまだ暑い日が続きますね!
全国的にやはり夏場にダイビングはトップシーズンを迎えるわけですが、
その分ダイビング中に一歩間違えば事故に繋がるようなトラブルも散見されます。
今回はダイビング中の身近なトラブルではあるにも関わらず、
一般的にあまり知られていないトラブルの原因や対処法を紹介します◎

 

 

なぜ夏場にダイビングのトラブルが多い?

ダイビングにおけるトラブルに対処するためのトレーニング風景
単純にダイビングツアーの開催数が多いこともトラブル数が増える理由として挙げられますが、
ダイバーさんの中には経験本数500本でも一度もトラブルに遭ったことがない方もいれば
経験本数30本で過去にダイビング中のトラブルに遭ったという方もいるのが現状です。
夏場のダイビング中のトラブルの原因をいくつか挙げてみます◎

 

 

1年ぶりのブランクダイバー

ダイビングは1年中遊べるスポーツとはいえ夏にだけダイビングを楽しむダイバーもいます。
それ自体は好みの問題なので何ら問題はありません。
しかしながら夏の始まりはある程度ブランクが空いてしまうのも事実。
最後にダイビングをしたのが去年の8月で今年一発目のダイビングが7月なんてもともあるでしょう。
11カ月もブランクを空けてしまえばさすがにダイビングの知識や技術は衰えます。
一見すぐに対処すれば大きな事故には繋がらないトラブルの芽を見逃したり対処法を忘れてしまったりと、
ダイビングのブランクを空けることはできるだけ避けたいところです。

 

 

ダイビングのブランクを空けないためには?

1年中ブランクを空けずにダイビングし続けたらいい!というダイビング狂の意見もありますが、
夏以外はイヤ!ほかにも趣味あるし!!という方も多いでしょう。
そんな方は次のような方法で夏に向けて準備してみてください。

 

 

行きつけのお店でインストラクターに復習してもらう

ダイビングライセンスの取得後にダイビングの復習をしている
これも有効な手段です。
ダイビングの基本的な知識や器材の扱い方等のおさらいをしてもらいましょう◎
イメージトレーニングは数少ないダイビングの自主練習の一つです。
奈良シカ〇ルも言ってました。「イメトレを3回やれば任務の成功率は上がる」と。(笑)

 

 

各種トラブル対処をダイビングプールでおさらい

ダイビングライセンスの取得後にダイビング専用プールで復習と練習
可能であれば波もない安全な空間でリハビリをしておきましょう。
くれぐれも「オレ、海でダイビングしながら思い出すタイプなんで!」という慢心は持たないでください(笑)
常に一番に安全を考えるダイビングだからこそ、安全のために手間を惜しんではいけないのです◎

 

 

ダイビングの経験が浅いダイバーさんが多い

ダイビングのブランク以前にそもそも経験が浅いダイバーさんが夏に増えます。
ダイビング好きの方が増えるのはとても嬉しいことですし、
当たり前ですがどんなベテランダイバーも最初は初心者です。
ダイビングの経験が浅いからトラブルに遭いやすいのではなく、
トラブルの芽を発見できなかったり、トラブル対処の引き出しが少ないことが心配なのです。
ダイビングの経験が浅いダイバーさんは次のようなことをしっかと身に付けておきましょう。

 

 

ダイビングの教科書を読み込む

ダイビングの教科書をよく読み勉強している
教科書が好きな方は一般的に少ないと思います。
かくいうボクも学生時代の教科書は新品状態です(笑)
しかしダイビングの教科書の大切さはインストラクターになった今なら誰よりも理解できます。
ダイビングライセンス取得時に必ずGETできる教科書は、
ダイビングのトラブル対処だけでなく、様々な海の知識やダイビングのコツも網羅しています。
この教科書を読むか読まないかで大きく変わってくるので必ず読んでおきましょう!

 

 

正しいダイビングスキルを身に付ける

ダイビングライセンス講習では様々なトラブルの対処法を身に付けていきます。
呼吸源が口から外れた時、マスク内に水が入ってきた時、エア切れの時etc
講習時にできればそれでいいというわけではなく、
ダイビング中のどんな場面でもストレスなく対処できるようにしっかり練習して身に付けていきましょう◎
ダイビングライセンス取得時に身に付ける基本スキル紹介動画

ダイビング中のトラブル3選とその対処法

ここからは実際のダイビング中に起こる可能性のあるにも関わらず、
あまり原因や対処法が知られていないトラブルの紹介とその際の対処法の一例を説明していきます。
どんなに小さなトラブルでも放置すると大きな事故に繋がってしまう可能性を秘めています。
大切なのはダイビング中のトラブルを起こさない様にするための準備と、
トラブルをいかに早く発見し対処するかです。
小さいトラブルのうちに対処できればほとんどの場合それほど難しいものではありません。

 

 

トラブルその① ゲージ(残圧計)の針が左右に振れている

ダイビングでタンク内の残りの空気圧を確認するために使用するコンソールゲージ
ダイビング中に「なんか呼吸がしずらいなー、さっきまでなんともなかったのに・・・
なんて思いながらふとゲージを見るとタンク内の残圧を示す針が左右にブンブン動いてる!
ゲージの故障か!?と思ってしまいがちですがこれには理由があります。

 

 

原因は一体・・・

これはタンクバルブが開ききっていない際に起こるトラブルです。
水面付近や水深の浅い場所であればそれほど強い水圧ではないので気づかずにダイビングを終えるケースもありますが、
タンクバルブの開き具合によってはどの水深で発覚するかわかりません。
タンクバルブが開ききっていない状態だと十分な量の空気が呼吸源やゲージのホースに充填されず、
息を吸った瞬間に一時的にホース内の空気を吸いきってしまいゲージの針が0になります。
その後息を吐いている間にゆっくりとホース内に再度タンクからの空気が充填され、
次第にタンク内本来の数値までゲージの針が戻ります。
左右にゲージの針が振れる現象はこうして起こるのです。

 

 

対処法

ダイビングで使用するタンクのバルブ部分
自分でタンクバルブを開けようとしても、なかなか手が届きません。
むりをせずにインストラクターにタンクバルブを開けてもらうように助けを求めましょう。
その際にパッとゲージを見せただけでは気づいてもらえない可能性もあるので、
ゲージの針が左右に振れているところを見せるようにするとより確実です。

 

 

トラブル対処に役立つアイテム

インストラクターにトラブルを伝えようにも常に自分を見てくれているとは限りません。
こちらからインストラクターを呼びたいときに役立つのがベルです。
形状やサイズは様々ですがダイビング用であれば何でもいいので、
一つ持っておくことをオススメします◎

 

 

トラブルを回避するために

タンクバルブは見ただけでは開き具合がわかりません。
少しでも「あれ?全開にしたかな?」と頭によぎれば必ず手で触って確認しましょう◎

 

 

トラブルその②ダイビング中に足が攣(つ)る

ダイビング中に水中に座った姿勢で静止するダイバー
ノリノリでダイビングをしている最中にいきなり来る足の攣り。
経験したことがなくても分かるはずなのが「自分にだけわかる違和感」です。
これを感じた時はものの数分の間に足が攣りますので、
安全にトラブル対処していきましょう。

 

 

原因は一体・・・

足が攣る時は共通して「ダイビングスーツがきつくて血行が悪い」や「身体が冷えている」、
他には「水分不足」等が挙げられます。
普段からダイビングをしている方でも足が攣るトラブルは起きるものなので、
上の3つの原因をクリアした状態でダイビングに臨みましょう。

 

 

対処法

足が攣る前の違和感を感じたら、
本格的につる前にフィンの先を両手で持って自分の方へ引き付けるように足の裏側一帯を伸ばします。
ダイビング中に足を延ばす方法。フィンの先端を持って自分に引き寄せ、足の裏側を伸ばす。
ダイビング中に足が攣るのはほとんどの場合足の裏側であるふくらはぎや太ももの裏です。
しかしながら、しっかり伸ばしても根本的な解決にはなりません。
インストラクターに足が攣ったことを伝えて、できるだけ早くダイビングを切り上げましょう。
放置すれば激しい痛みでほかのトラブルを招く可能性もあり、
痛かったでは済まない事態に陥る前に対処しましょう◎

 

 

トラブル対処に役立つアイテム

足の攣りの元凶はやはり冷えと締め付けです。
可能であればフルオーダーサイズのダイビングスーツを検討しましょう◎
フルオーダーサイズのダイビングスーツを持つ女性
ダイビングスーツの主な役割は保温と保護です。
保護に関してはサイズはどうあれ着ていれば守ってくれそうですが、
保温となるとピッタリサイズでないと難しいので、
ストレスやトラブルを回避するためにも有効なものといえるでしょう◎

 

 

トラブルを回避するために

足が攣る予感がしたら、トラブルはもう目の前です。
そうならない為に水分補給をしっかりして、
締め付けを緩和したり体温を下げないためにも
ダイビング後の休憩時間はダイビングスーツを脱いで過ごしましょう◎

 

 

トラブルその③タンクの残圧が残り少ない

ダイビング中に頻繁に確認するべきなものの一つがトラブルその①で紹介したタンク内の残圧を示すゲージです。
「確認したら残圧が0でした」なんてトラブルはシャレになりません。
残圧が0なら誰がどう見ても大きなトラブルなことは確実ですが、
「1分前はゲージの針が160だったのにいきなり0になった」なんてことは
急激なエア漏れでもない限りまずありえません。
どんなトラブルにも過程があるので、
その過程の中で対処できるようにしましょう◎

 

 

原因は一体・・・

ダイビング時間の経過とともに残圧が減っていくのは当然ですが、
エアの消費量は個人差が大きいものです。
タンク内のエアを消費する行動としては
・呼吸
・BCDへの給気
・ドライスーツへの給気
です。
水中で自由に泳ぐダイバー
ダイビングスキルの向上とともに浮力調整も上手くなり、
BCDやドライスーツに給気しすぎた直後に排気するという無駄使いもなくなってきます。
また、体勢が安定してくると呼吸の乱れも少なくなり、エアの消費も抑えられます。
しかし、このトラブルの一番の問題はエアの減り具合よりも、残圧確認の頻度の問題です。
インストラクターに残圧を聞かれた時にだけ確認するのでは確認不足なくらいなので、
3分おきくらいの頻繁に確認するくらいの意識で臨みましょう。

 

 

対処法

エアの消費を抑えるためにダイビングスキルを磨くのもとても大切なことです。
しかしいきなりできるようになるわけでもないので、
その場の対処法としては「エア切れを起こす前にオクトパス(予備の呼吸源)をもらう」ことです。
ダイビングで使用する予備の呼吸源(オクトパス)
一般的にオクトパスはエア切れを起こしたダイバーに渡すというイメージがあるかもしれませんが、
実はエア切れを起こす可能性が見えた時に使うものです。
例えばこんな時・・・
残圧200からダイビングが始まって、予定の潜水時間の半分も過ぎてないのにもう残圧70です。
もうこの時点で明らかに放置すればエア切れを起こす未来が見えますね◎
この時点でオクトパスをバディもしくはインストラクターにもらいましょう。
そしてオクトパスで呼吸している間に忘れてはならないのが、
・バディ(インストラクター)と離れない様にBCDを掴んでホールドすること
・突発的にオクトパスが外れた時のために、右手に自分の呼吸源(レギュレーター)を持っておくこと
です。
そのまま垂直に浮上するのかボート下まで戻るのかはインストラクターの状況判断によりますが、
「ここまでくればエア切れの心配なし」まで来たら、あとは自分の呼吸源で対応しましょう。

 

 

トラブル対処に役立つアイテム

エア切れを起こさないためにダイビングスキルを磨くのも一手です。
でもアイテムに頼るのが一番手っ取り早いですね(笑)
スキルとアイテム両方あるのが理想です◎
エアの消費に関するアイテムはいくつかありますので順番に紹介していきます。

 

 

流量ネジ搭載のレギュレーター

ダイビングで使用する呼吸源(レギュレーター)の流量ネジ部分
現在多くのメーカーから販売されているレギュレーターに呼吸による空気消費量を抑えたり大きくしたりできる流量ネジが搭載されています。
レンタル器材のレギュレーターにも付いている方が多そうです。
ただ、ダイビングショップのレンタル器材は個人所有されている物よりもはるかに使用頻度が高いです。
毎度きっちり洗えていないと海水がついたまま渇いてしまい塩で固まる、いわゆる塩噛みしていることも多々あります。
流量ネジが塩噛みしていると流量調節はできませんので、
流量ネジを最大限に活かすには個人所有がオススメです◎

通常よりも大きなタンクでダイビングをする

アイテムに頼るの決定版です(笑)
いっぱい減るなら初めからいっぱい空気が入っているタンクを使えばいいのさ!ということです(笑)
ダイビング当日に現地サービスのスタッフに伝えるよりも、
前もって通常の10Lタンクではエアの消費が多いから12Lタンクを用意してほしい旨を伝えておきましょう。

 

 

トラブルを回避するために

毎度のダイビングで自分がどれくらいの水深でどれくらいのエアを消費するのかを把握しておきましょう。
ログブックをしっかり記入して、記録に残すことが大切です。
そして予め担当インストラクターにエアの消費量についての相談もしておくとなお安全ですね◎

 

 

まとめ

今回は3つのトラブルについて紹介しましたが、数えだしたらきりがないほどトラブルの芽は存在します。
しかしながら多くのトラブルは初期に対処すれば大きく発展することは少ないものです。
大切なのはトラブルを恐れながらダイビングをするのではなくトラブルの芽を発見・対処しながら楽しむことです。
そしてそれらを可能にするには場数を踏むことが何より大切です。

今回も長々と失礼しました(笑)
ではまた次回の記事でお会いしましょう!

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