深く潜ったら空気の消費が早くなる?ダイビングの空気消費と節約術について
こんにちは!ダイビングインストラクターのかっきーです◎
今回は水深による空気の消費量の違いや節約術についてです。
ダイバーさんなら一度は経験したことがあるはずの「気付いたら空気結構なくなってる現象」について解説していきます(^^)/
これを知ることによってこれからのダイビングがより安全になること間違いナシですので、
是非最後まで読んでみてください◎
なぜ水深によって空気の消費量が変わるのか
まずはこの原理を知っていきましょう。
水圧による現象やダイバーにはおなじみの器材の役割を改めて理解することで、
ダイビング中の余裕も出てくるはずです(^^♪
レギュレーターの役割
ダイビングで使用するシリンダー(タンク)内の空気はダイビング開始時200気圧ほどです。
地上の空気が1気圧なので、シリンダー内は地上の200倍の密度に圧縮した高圧ガスという状態です。
パンパンに空気が詰まったシリンダーから水中で少しずつ呼吸をするための器材がレギュレーターです。
ただ単にシリンダーから空気を流してくれるものというだけではなく、
性能にもよりますが高圧の空気を1気圧に減圧(変換とも言えますね)してダイバーの口元に持ってきてくれる役割があります。
この機能によってダイバーは水中で過激な高圧ガスを吸い込むことなく活動できるというわけですね◎
さらに最近ではレギュレーターの性能も高まり、水圧による呼吸抵抗(深くなるにつれて呼吸しずらくなる)の小さいレギュレーターも登場しています。
レギュレーターあってこそのダイビングですので、今後のレギュレーターの性能事情もダイバーとしては楽しみなところです◎
水深によるダイビング中の空気消費量増加の原因
タイトルにもあるとおり、深い水深であればあるほど空気消費量は増加します。
この現象は呼吸が大部分を占めます。
どんなものが原因になるか見ていきましょう◎
深くなる、ただそれだけで空気消費量は増加する
これはもう対処のしようがないダイバーの宿命です(笑)
先ほどレギュレーターの役割で「1気圧に減圧する」と説明しましたが、この性能は常に働きます。
しかし陸上であればそのまま1気圧として吸うことができますが、水中となると「水圧」の問題が出てきます。
水圧は海水10mで+1気圧となるので水深10mでは陸上の1気圧に+1気圧となり合計2気圧となります。
ここまでを整理するとこんな感じです☟
地上=1気圧
水深10m=2気圧
水深20m=3気圧
水深30m=4気圧・・・・
という環境となります。
ここで例えば水深10m(2気圧)で呼吸する場合、
口元で地上の2倍の圧縮が起こり結果として肺を満たすために陸上の2倍の量の空気を吸い込むことになります。
ちょっと難しいですね、要約すると☟
「2気圧だったら地上の2倍の空気消費量になる」
という事です。
水深40mの5気圧では地上の5倍の速度で空気消費が起こることになりますので、
安全にダイビングができる時間はせいぜい10分ほどでしょう。
どれだけダイビングの技術を高めてもスキューバダイビングではこれを克服することはできません。
呼吸数が増加すると空気消費量が増加する
深くなるだけでも空気消費量は増加しますが、さらに呼吸数が増えるとガンガン空気が減ることになります。
呼吸数が増加する場面はどのようなものがあるか紹介します◎
ダイビング前やダイビング中に緊張する
まだ経験の浅いダイバーさんには多い状態です。
緊張というストレスには様々な症状がでます。
口の渇き、発汗、眼球の動きの活発化などなど・・・
その中の一つが呼吸数の増加です。
必要以上の空気を無意識に吸ってしまうことになるので注意です。
ダイビング中に予期せぬイベントでドキドキする
例えば大物好きなダイバーの目の前にいきなりジンベエザメが出現!
なんてラッキーなイベントが起きれば誰でも興奮するでしょう。
その興奮のドキドキもある意味ストレスで緊張と同じ現象が起きます。
空気消費量の観点だけでいえば平常心が一番です。
疲れによる呼吸の乱れ
水中で動き回ったりバランスを崩した際に疲れからくる呼吸数の増加が最も身近な現象です。
ボクも実際につい最近水深40m付近で強い流れに逆らって泳いだ際、
ものの数分でシリンダーの空気が激減しました。
ダイビング中は常に呼吸を乱さない様に注意しましょう◎
ダイビング中に空気の消費を抑える方法
ダイビング中にシリンダーの空気を吸わない、使わないというわけにはいきませんが消費を抑えることは可能です。
ここからは空気の消費を抑える技術や注意点をご紹介していきます。
中性浮力を身に付けて、ダイビング中の無駄な動きを減らす
水中で中性浮力ができるようになると空気消費量もかなり抑えられます。
疲れによる呼吸数増加もなく、BCDへの給気・排気も最小限に抑えられます。
中性浮力を身に付けることは空気消費量にも繋がるので、ダイビングの必須スキルとなっています。
中性浮力についての詳細記事はコチラ
ダイビングの経験を積み、緊張しすぎない体質を作る
ダイビングは毎日できるものではないのでブランクが空けば空くほど次回のダイビングは緊張することになります。
また、ブランクはそれほどなく経験本数も十分にあったとしても初めての環境下(ナイトダイビング、30m以深でのダイビング、ドリフトダイビング等)
でのダイビングでは誰でも少なからず緊張するものです。
幅広くダイビングの経験を積み、できるだけ緊張しない状態を目指すことが望ましいですね(^^♪
どうしても空気消費量が抑えられない!そんなあなたにオススメ
中性浮力をマスターして、緊張もなく、これでもかと対策してきたにも関わらずどうしても空気消費量が抑えられない!
そんな時は最終奥義、12Lシリンダーの出番です。
通常のシリンダーは10Lサイズが標準ですが、チーム全員でシリンダーのサイズを揃える必要はありません。
10Lシリンダーと12Lシリンダーが200気圧と同圧の場合、12Lシリンダーの内容L数は400Lほど増量しています。
他のダイバーさんより空気消費量が多くてもシリンダーのサイズで解決!
まさに力業ですがボクも現場でよく使う方法です。
10Lシリンダーよりも少々重かったり数100円割高になることもありますが許容範囲です。
ダイビング中の空気消費量に関する注意点
ここまで空気消費量について説明してきましたが、実際そこまで空気消費量にこだわる必要はありません。
あくまでも気になるようであれば、というくらいのものです。
ここからは空気消費量に関する注意点を紹介していきます◎
空気消費量を抑えるためのスキップ呼吸はご法度
スキップ呼吸とは連続した呼吸を止めてしまう事です。
呼吸の回数を故意に減らすために息を止めるこのスキップ呼吸はいくつかのリスクが存在します。
スキップ呼吸による酸欠
一時的に呼吸を止めてしまうことで体内に取り込む酸素量が減少します。
吸ってないから当然ですね◎
酸素量が減るとすぐに現れる症状としては「頭痛」が挙げられます。
酸欠による頭痛は一時的なものではありますが、ダイビングを終えた後もしばらく続きます。
そして重度の酸欠状態になると意識喪失にまで発展する可能性もあるのでスキップ呼吸はしないように気をつけましょう◎
息止め中に浮上することによる肺の過膨張
肺内の空気の出口は口(のど)のみであるにもかかわらず不用意に呼吸を止めて空気の出口を塞いでしまうと、
浮上と同時に空気の膨張が始まり出口を失った肺内の空気が肺を内側から圧迫します。
これを肺の過膨張といいます。
肺の過膨張は様々な潜水病(突発性気胸、エアーエンボリズム等)を引き起こす原因になりうるので、
浮上する際は必ず息を吐きながら浮上します。
その癖付けの為にもスキップ呼吸はしない様に気をつけましょう◎
ダイビング中の残圧確認は頻繁に行う
ダイビング中の空気消費は個人差はあれど確実に起こります。
空気消費において重要なのは「今、残圧がいくつなのか」も大事ですが「このペースでいけば最終的にはこうなる」という予測がかなり重要です。
この空気消費の予測をしっかりするためにも、ガイドに尋ねられた時だけではなく自分で数分おきにシリンダー内の残圧を確認するように心がけましょう◎
まとめ
ダイビング中の空気消費量は個人差が大きく、水深が深ければ深いほど空気消費量は増加します。
空気消費量を抑えるための技術や知識も大切ですが、身体に負担をかけるスキップ呼吸は控えましょう。
常に安全第一のダイビングを心がけて、少しづつ改善に努めましょう◎